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【解決事例】県外から電話と郵便だけで相続手続き―高齢の相続人にも配慮し預貯金の手続きを進めた事例

2026.09.03

1.状況

今回ご相談いただいたのは、県外にお住まいの70代の男性です。熊本に住んでいた叔母様が亡くなり、そのままになっている預貯金の相続手続きを進めたいとのことでご相談をいただきました。

遠方にお住まいのため、事務所まで来て面談することが難しく、最初のご相談は電話でお受けしました。また、相談者はメールやLINEを使用されていなかったため、その後の連絡も電話と郵便を中心に行うことになりました。

相続関係を確認したところ、相続人は、被相続人のご姉妹のうちご存命のお姉様と相談者の2名でした。相談者のお母様も被相続人の姉でしたが、すでに亡くなっていたため、その子である相談者が代襲相続人となっていました。

相談者は葬儀などの対応や費用負担をされていたことから、残された預貯金についてはご自身が相続したいというご希望をお持ちでした。そのため、もう一人の相続人である被相続人のお姉様にも事情をきちんと説明し、ご理解いただいたうえで遺産分割協議を進める必要がありました。

2.相続手続きの設計

まずは相続関係を正確に確認するため、必要な戸籍を収集しました。相続人が確定した後、今後の金融機関での手続きをスムーズに進めるために法定相続情報一覧図を作成しました。

次に、被相続人の預貯金について各金融機関から残高証明書を取得し、相続財産の内容を確認しました。その内容をもとに財産目録を作成し、相続人の方々が財産の全体像を確認できるようにしたうえで、遺産分割協議書の作成へと進みました。

相談者は、葬儀などを中心となって行い費用も負担したことから、ご自身が預貯金を相続することを希望されていました。ただし、相続手続きではご自身の希望だけで進めるのではなく、もう一人の相続人にも事情を説明し、納得いただいたうえで合意することが大切です。そのため、相手方への説明にも配慮しながら手続きを進めました。

また、相談者は県外在住で、ご高齢ということもあり、メールやLINEを使ったやり取りは行わず、必要な説明は電話で行い、確認や署名・押印が必要な書類については郵送で対応しました。相談者に無理に新しい連絡手段を使っていただくのではなく、普段利用されている電話と郵便を活用することで、遠方からでも手続きを進められるようにしました。

相続財産は、被相続人名義の預貯金です。

当事者は、被相続人の姉と、すでに亡くなっているもう一人の姉を代襲して相続人となった甥である相談者の2名です。

3.相続手続きを行うメリット

今回のように県外に住んでいる場合、「熊本まで何度も行かなければ相続手続きができないのではないか」と心配される方もいらっしゃいます。しかし、手続きの内容によっては、電話や郵便を活用することで、遠方からでも進めることが可能です。

今回は、戸籍の収集から相続人の確定、法定相続情報一覧図の作成、残高証明書の取得、財産目録や遺産分割協議書の作成までを順番に進めることで、相談者の負担をできるだけ抑えながら手続きを整理することができました。

また、預貯金を誰が相続するかについても、財産の内容を明らかにしたうえで、もう一人の相続人へ相談者の希望やこれまでの経緯を説明することで、納得のいく遺産分割協議につなげることができます。

相続手続きでは、書類を作成するだけでなく、相続人それぞれの事情を整理し、どのような順番で進めれば負担が少なくなるかを考えることも重要です。特に、遠方にお住まいの方やご高齢の方の場合には、その方に合った連絡方法を選ぶことで、安心して手続きを進めることができます。

4.まとめ

今回の事例は、県外に住む70代の相談者から、熊本で亡くなった叔母様の預貯金について相続手続きのご依頼をいただいたケースでした。

相談者は遠方にお住まいで、メールやLINEも利用されていなかったため、電話と郵便を中心にやり取りを行いました。戸籍を収集して相続人を確定し、法定相続情報一覧図、残高証明書、財産目録、遺産分割協議書と順番に準備することで、来所の負担を抑えながら手続きを進めることができました。

相続人が遠方に住んでいる場合や、高齢でオンラインでのやり取りが難しい場合でも、それぞれの状況に合わせた方法を選ぶことが大切です。

メッセージ

「遠方なので事務所まで行けない」「メールやLINEを使えないので相談しづらい」といった理由で、相続手続きをそのままにされている方もいらっしゃるかもしれません。

相続手続きは、必ずしも何度も事務所へ足を運んでいただく必要があるとは限りません。電話でご説明し、必要な書類を郵送でやり取りするなど、ご本人に合った方法で進められるケースもあります。

特に、相続人が高齢の場合や県外に住んでいる場合には、手続きの負担をできるだけ減らしながら、必要な手続きを一つずつ整理することが重要です。

遠方にお住まいで相続手続きにお困りの場合や、「何から始めればよいか分からない」という場合も、まずは専門家へ相談することをおすすめします。

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この記事を担当の執筆者
サンセントラル司法書士法人 代表 中山 学史
保有資格司法書士
専門分野相続、信託
経歴明治大学法学部卒業。平成24年司法書士試験合格。司法書士事務所勤務を経て、平成25年司法書士事務所開設。遺言書の作成や相続問題に精通した弁護士、税理士などの専門家とネットワークを構築し、不動産相続案件を専門に活動している。  最近は民事信託を活用した相続対策を行っている。 「身内の相続で揉めない悔やまない50の処方箋」(中央経済社)を共同で執筆。
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