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死後事務委任契約

相続に関して、以下のようなことにお悩みではありませんか?

以下のような相続のお悩みをお抱えではありませんか?

・子どもがいないので自分の死後の財産等の処理がどのようになるのか心配だ

・独身のためもしもの時に頼れる家族がいない

・長年、親族と連絡を取っていない

・親族が遠方のため負担をかけたくない

高齢化、核家族化が進む日本では、このような状況にあてはまる方、いわゆる「おひとり様」が増えています。お子様がいらっしゃらなかったり、配偶者が既に他界されていたり、ご家族が遠方にお住まいだったり、様々な理由が背景にはあるかと思います。

このようなお悩みをお抱えの方は、ご自身が亡くなったあとの手続きについて、お元気な今のうちから考えておくことをおすすめします。

周りに安心して託すことのできるご家族やご親戚がいらっしゃれば、亡くなった後に発生する諸手続きはその方々にお任せすることができます。

しかし、そうでない場合、亡くなった後の様々な諸手続きがスムーズに進まない可能性がでてきます。

ご自身の死後の手続きに不安がある、周りに迷惑をかけたくないという方は、生前に専門家に「死後事務委任契約」の依頼をおすすめします。

死後事務委任契約とは

死後事務委任契約とは、葬儀や埋葬に関する事務手続きを委託する契約のことです。

委任者(本人)が受任者(自分以外の第三者)に対し、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務手続き等についての代理権を付与して、自己の死後の事務を委託する契約のことを「死後事務委任契約」といいます。

委任契約というのは、原則として、委任者の死亡によって終了してしまいます。

しかし、委任契約の当事者である委任者と受任者の契約で、「委任者の死亡によっても委任契約を終了させない」という合意を行うこともできます。

この合意を行うことで、自分の死後も、受任者が死後事務委任契約に記載された事務を行うことができるようになります。

死後事務委任契約で注意すべきことは、あくまで「事務手続きの委任である」ということです。

「相続財産をAに相続させる」といった内容は、事務手続きの委任ではないため、「遺言書」に記載しなくてはなりません。

しかし、遺言で葬儀や法要のやり方を指定する方もいらっしゃいますが、逆に遺言には、事務契約に関する法的強制力はありません。

葬儀のやり方を具体的に指定したり、散骨等を埋葬の方式として指定したりする場合には、実際に葬送を行うことになる人々との話し合いや準備をしておくことが重要です。

老後の身上監護と財産管理を万全なものとしたうえで、死後の相続、相続財産の管理、または処分および祭祀の承継に紛争を生じないようにするために有効だと言われています。

死後の事務が確実に行われるようにするために、遺言で祭祀の主宰者を指定したり、遺言で遺言執行者を指定して、執行内容をその遺言執行者との死後事務委任契約で取り決めておく方法も考えられます。

契約内容の注意点

費用の負担について明確にしておく必要があります。

任意後見人・成年後見人等は、ご本人が死亡した時点でその職務が終了しますし、見守り契約(※)のみの場合では、死後の事務を行うための財産的裏付けがなく、葬儀費用等の支払いを行うことができなくなります。

※見守り契約とは、任意後見契約が生じるまでの間、定期的な訪問や面談等によって、ご本人の心身の健康状態を把握して見守るためのものです。任意後見契約を開始する時期を見極めるためにも役立ちます。

遺言で祭祀の主宰者に、「遺言者の葬儀費用に充てるために、金○○円を預託してあり、それを使用して下さい」と指定することも可能です。

亡くなった後の事務手続き

・委任者の生前に発生した債務の弁済

・委任者の死後の葬儀、埋葬もしくは永代供養に関する債務の弁済

・賃借建物の明け渡し、敷金もしくは入居一時金等の受領

・親族関係者への連絡

・家財道具や生活用品の処分に関する事務

それぞれを必要に応じて行うことも可能です。

「任意後見契約」「見守り契約」「死後事務委任契約」「公正証書遺言」を含めて、検討されることをお薦め致します。

この記事を担当の執筆者
サンセントラル司法書士法人 代表 中山 学史
保有資格司法書士
専門分野相続、信託
経歴明治大学法学部卒業。平成24年司法書士試験合格。司法書士事務所勤務を経て、平成25年司法書士事務所開設。遺言書の作成や相続問題に精通した弁護士、税理士などの専門家とネットワークを構築し、不動産相続案件を専門に活動している。  最近は民事信託を活用した相続対策を行っている。 「身内の相続で揉めない悔やまない50の処方箋」(中央経済社)を共同で執筆。
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