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遺言や成年後見制度だけでは対応できない？ 熊本の民事信託（家族信託）とは

相続対策には、遺言書の作成、生前贈与、成年後見制度の利用など、様々な方法があります。しかし、ご自身の状況によっては、これらの方法だけでは十分な対策ができないケースも存在します。

例えば、以下のようなお悩みはありませんか？

• ✔ 自分の亡き後、障がいのある子の生活を守りたい。
• ✔ 認知症の配偶者の財産管理が心配だ。
• ✔ 財産を特定の人物に、二世代にわたって確実に引き継がせたい。
• ✔ 事業承継を円滑に進めたいが、経営権はまだ手放したくない。

このような複雑なご要望に対応できる方法として、近年「民事信託（家族信託）」が注目されています。熊本にお住まいの方々にも、この新しい財産管理・承継の仕組みをご検討いただく価値があります。

民事信託（家族信託）の基本

民事信託（家族信託）とは、ご自身の財産（不動産、預貯金、株式など）の管理や処分を、信頼できるご家族などに託す法的な仕組みです。信託銀行などが提供する「商事信託」とは異なり、営利を目的とせず、柔軟な設計が可能です。

具体的には、財産を持つ人（委託者）が、信頼できる人（受託者）に財産を託し、特定の人（受益者）のために、定めた目的（信託目的）に従って財産の管理・処分をしてもらう契約を結びます。

高齢化が進む日本では、認知症による資産凍結リスクへの備えとしても有効です。判断能力があるうちに民事信託契約を結んでおくことで、将来、ご本人の判断能力が低下した場合でも、受託者であるご家族が契約に基づき財産の管理や活用（例えば、不動産の売却や賃貸、施設の入居費用の支払いなど）をスムーズに行うことができます。

【引用情報】
民事信託は、信託法に基づいた制度です。詳細については、法務省のウェブサイト等で確認できます。
引用元: 法務省
参考URL: 法務省：民事信託について (※具体的な制度概要や利用上の注意点などが記載されています)

民事信託でできること（具体例）

民事信託を活用することで、遺言や成年後見制度では難しかった、以下のような柔軟な財産管理・承継が可能になります。

1. 認知症対策としての財産管理:
   親御さんが元気なうちに信託契約を結び、お子さんを受託者とすることで、将来認知症になっても預貯金の引き出しや不動産の売却がスムーズに行えます。成年後見制度よりも柔軟な財産管理が可能です。
2. 障がいのある子のための財産管理:
   親御さんが亡くなった後、障がいのあるお子さんの生活費などを、信頼できる親族（受託者）が管理し、定期的にお子さん（受益者）に渡すことができます。「親なき後問題」への備えとなります。
3. 二次相続以降の承継者指定:
   例えば、「自分が亡くなったら妻に財産を相続させ、妻が亡くなったらその財産を特定の子に引き継がせたい」といった、遺言では実現できない二世代先以降の財産承継者を指定できます（受益者連続型信託）。
4. 事業承継の円滑化:
   自社株式を信託財産とし、後継者を受益者、経営権を維持したい現経営者を受託者（または指図権者）とすることで、議決権を維持しながら株式の承継を進めることができます。
5. 不動産の共有問題回避:
   複数の相続人で不動産を相続すると、共有状態となり管理・処分が難しくなることがあります。信託を活用し、特定の相続人を受託者とすることで、管理・処分の権限を一本化できます。

これらはあくまで一例です。民事信託はオーダーメイドで設計できるため、ご家族の状況に合わせた最適なプランを検討することが重要です。

民事信託の注意点

多くのメリットがある民事信託ですが、注意すべき点もあります。

• 専門的な知識が必要で、設計が複雑になる場合がある。
• 受託者には、財産管理に関する責任や義務（帳簿作成など）が発生する。
• 信託契約の内容によっては、税務上の取り扱いが変わる可能性がある（税理士との連携が重要）。
• 損益通算ができない、信託期間中の損失繰越ができないなどの税務上の制約がある。
• 比較的新しい制度のため、判例や実績がまだ少ない部分がある。

これらの注意点も理解した上で、専門家と相談しながら慎重に進めることが大切です。

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熊本で民事信託に関する役所

民事信託契約書の作成や不動産の信託登記などは、司法書士の専門分野です。

熊本県内で関連する手続きや相談ができる主な機関・専門家窓口の例です。