【司法書士が解説！】遺言（熊本）｜種類・書き方・保管制度
ここでは遺言について詳しくご説明します。
大切なご家族が相続をきっかけに「争族」となってしまわないよう、ここ熊本で「遺言」についてしっかりと知っておきましょう。
最近では「終活」の一環として、ご自身の想いや情報をまとめる「エンディングノート」を作成する方も増えていますが、財産の分配など法的な効力を持たせるためには、民法に定められた形式での「遺言書」が不可欠です。
遺言の種類
相続人が遺産を巡り「争族」となることを防止するためには、遺言書の作成が効果的です。 遺言には、主に「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の３種類があります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、例えば「自筆証書遺言」は手軽ですが要件不備で無効になるリスクがあり、「公正証書遺言」は費用がかかりますが最も確実で安全です。ご自身の目的によって、相応しいものを選びましょう。
自筆証書遺言
- 特徴
- 全文、日付、氏名を自書し、押印して作成します。
- メリット
- ・費用がかからない
・いつでも作成・修正できる - デメリット
- ・形式不備で無効になるリスク
・紛失・改ざんの恐れ
・原則、家庭裁判所の「検認」が必要
公正証書遺言
- 特徴
- 公証役場で証人2名立会いのもと、公証人に作成してもらう遺言です。
- メリット
- ・形式不備で無効になる心配がない
・原本が公証役場に保管され安全
・検認が不要で手続きがスムーズ - デメリット
- ・作成費用がかかる
・証人2名が必要
秘密証書遺言
- 特徴
- 内容を秘密にしたまま、公証役場で遺言書の「存在」のみを証明してもらいます。
- メリット
- ・内容を秘密にできる
- デメリット
- ・形式不備で無効になるリスク（自筆証書と同じ）
・検認が必要
・利用されるケースは稀
詳しくは、「遺言の種類」をご覧ください。
遺言の作成方法
遺言は民法で定められた厳格な形式（例えば、自筆証書遺言では全文・日付・氏名の自書と押印）で作成しないと無効になります。
【引用】 民法 第九百六十条（遺言の方式）
遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。引用元: e-Gov法令検索（総務省）「民法」
せっかくの想いを確実に実現するためにも、正しい遺言を作成しましょう。 詳しくは、「遺言の書き方」をご覧ください。
公正証書遺言とは
３種類ある遺言のうち、「公正証書遺言」が最も安全で確実な方法です。公証役場で公証人と証人2名立会いのもと作成し、原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざん、要件不備で無効になる心配がありません。
熊本市内で公正証書遺言を作成する場合、中央区桜町の「熊本公証人合同役場」を利用するのが一般的です。作成手順を押さえて、確実に「公正証書遺言」を作成しましょう。
詳しくは、「公正証書遺言」をご覧ください。
遺言の保管と執行について
苦労して作成した遺言書でも、紛失したり、ご自身の死後に相続人に見つけてもらえなければ、その機能を果たすことはありません。
しかし、遺言書は内容のプライバシー性が高いため、簡単に見つかる場所に保管することもできません。公正証書遺言であれば原本が公証役場に保管されますが、自筆証書遺言の場合はどうすればよいでしょうか。
詳しくは、「遺言の保管と執行」をご覧ください。
自筆遺言書の保管制度について
自筆証書遺言の保管に関する問題を解決するため、令和２年７月１０日より、法務局で遺言書を預かってもらえる「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。
本制度は、自筆証書遺言のメリット（簡易に作成できる）は損なわず、公証役場で作成する公正証書遺言のメリット（原本の安全な保管）の一部を取り入れたものです。
引用元: 法務省「自筆証書遺言書保管制度」
この制度を利用すれば、遺言書の改ざんや紛失のおそれがなくなり、相続開始後に家庭裁判所の「検認」手続きも不要になるという大きな利点があります。
熊本県では「熊本地方法務局（本局）」が申請窓口となりますが、ご本人が法務局に出向いて申請する必要があるため、自ら申請に出向ける方を想定した内容になります。
遺言をすべき人は？
相続人同士の仲が悪いなど、ご自身の死後に遺産相続争いが起きそうな場合はもちろんですが、それ以外にも、遺言を作成しておいたほうがいいケースがいくつかあります。
- お子様がいないご夫婦（ご兄弟や甥・姪も相続人になるため）
- 内縁の妻（夫）など、法定相続人以外の方に財産を遺したい場合
- 介護などで特にお世話になった方に多く財産を遺したい場合
- 個人事業主や会社経営者の方
詳しくは、「上手な遺言の利用方法」をご覧下さい。
熊本市内で遺言書（公正証書）の相談ができる場所
公正証書遺言を作成する場合、公証役場にて公証人と打ち合わせを行う必要があります。熊本市内には以下の公証役場があります。
熊本公証人合同役場
住 所： 〒862-0976 熊本県熊本市中央区九品寺２丁目１−２４ ３階
電 話： 096-364-2700
営業時間： 平日 8:30～17:00
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この記事を担当の執筆者
サンセントラル司法書士法人
代表
中山 学史
保有資格司法書士
専門分野相続、信託
経歴明治大学法学部卒業。平成２４年司法書士試験合格。司法書士事務所勤務を経て、平成２５年司法書士事務所開設。遺言書の作成や相続問題に精通した弁護士、税理士などの専門家とネットワークを構築し、不動産相続案件を専門に活動している。 最近は民事信託を活用した相続対策を行っている。 「身内の相続で揉めない悔やまない50の処方箋」(中央経済社)を共同で執筆。
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